世界最大の木造建築を日本から発信
法隆寺に代表されるように、日本には木造建築の歴史は1000年以上あります。
ヨーロッパでは、脱炭素や持続可能社会への関心の高さから、木造が強くプッシュされています。
一方、言わば本家本元の日本ではあまりトレンドになっていません。
木造建築の長い歴史があるのに、現代では世界から遅れてしまっている危機感から、関西万博の建築デザインを請け負った藤本壮介さんは、世界最大の木造建築物として、万博会場を囲む巨大な木造円形リング「大屋根」を設計し世界へメッセージを届けたいとの発想です。
円の直径615m、高さ最大20m、幅30mの円形建物という巨大さです。
会場を訪れる人は、木造の大屋根を通ってパビリオンに向かうことになります。
面積は1階と歩行用上階で85000㎡(25000坪強)です。
エスカレータは9基、エレベータは5基、トイレは40ヶ所あるそうです。
ビルの一部を木造にするのは当たり前に
皇居脇に建つ東京海上日動本社ビルは、建て替えで2028年に完成、20階建て、基準階柱52本中40本が木造、鉄筋とのハイブリッド工法とのことです。
木造の柱は四角形で一辺2.5m、表面はヒノキですのでいい香りがしそうです。
外観は木造ビルがアピールされています。
政府から補助金が出た先導事業として建て替えた「東中野ペンシルビル木造建替えプロジェクトは、1~4階が鉄骨造、5~8階が木造です。
今年6月に完成しました。
建物の一部を木造にする流れは、世界的な脱炭素の方向から見て、今後ますます増えてくるはずです。
三井不動産は、日本橋本町で国内最大最高層の18階建て木造オフィスビルを建築します。
木と鉄骨のハイブリッド工法ですが、外観は木造を強く意識しています。
屋上では水耕栽培をするそうです。
街中に木造ビルが増えて来ると、威圧感が少なくなり、目にも優しい感じがします。
全部木造の賃貸マンションも続々建築
ビル以外の中規模から大規模建物の木造化は、老人ホームや幼稚園などで取り入れられ始めましたが、今年から木造4階建て賃貸マンションも出始め、入居率も良いようです。
オール電化と太陽光発電で、入居中のCO2ゼロをうたっています。
環境意識の高い入居者を集めているのかも知れません。
そのほか、釘を使わない宮大工技術を活かした賃貸住宅も出てきました。
室内は漆喰とホタテの貝殻を練りこみ抗菌作用と強度を持たせて、自然素材を効果的に使っています。
これなども健康志向の入居者に人気となるでしょう。
日本は木造建築と耐震技術で世界で躍進
住友林業は、ロスアンゼルスに木造10階建てを建てて耐震試験をしました。
日本の耐震基準で、阪神淡路大震災級、南海トラフ級の揺れに耐えて、大震災が複数回到来した実験でも耐震性能を維持しました。
日本は、木造建築技術、宮大工技術、耐震技術などが、これから世界に躍進できる「輸出品」となるかも知れません。
植林→利用→植林という循環で持続可能な社会への貢献に期待します。
すまいる情報東京 代表取締役社長
公認不動産コンサルティングマスター
竹内 健二
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