再開発で消えゆく昭和遺産「横丁」

駅の近くに数多くあった「横丁」、狭い路地に飲食店がひしめき、お財布に優しい飲み屋街として愛好家も多かった横丁が、再開発で立ち退きや消滅しつつあります。

新宿のゴールデン街、思い出横丁、大井町の東小路飲食店街、新橋ガード下などは残っていますが、有楽町ガード下はほぼ消滅、渋谷の恋文横丁や池袋の人生横丁、中野の四十五番街などは消滅しました。

 

今月の不動産トピックス・2024年9月 「横丁」1000円もあれば気持ちよくベロベロに酔える「せんべろのまち」として知られる東京・立石(葛飾区)では超高層ビルを建てる再開発工事が始まり、「せんべろのまち」が消えつつあります。

私も貧乏学生時代、中野に下宿していたので、新宿、渋谷、池袋、中野などの横丁に学生服で飲みに行くと(もちろん大学生)、ママさんが「学生さん、お金ないんでしょ」と安く飲ませてくれお世話になりました。

 

 

再開発地域に続々「横丁」が出現

再開発でどんどん横丁は無くなって行くのですが、お祭り的なカオス好きのDNAが日本人にあるのを見越してか、物珍しさで来る外国人観光客目当てか、再開発ビルには横丁がセットになっているケースが増えています。

 

正確に言うと「横丁っぽい雰囲気を演出したフードコート」で猥雑感や怪しげな雰囲気はないのですが、再開発と横丁は今後も増えて来るものと思います。

再開発で出来た横丁(のようなもの)は、恵比寿横丁(2008年開店)ですが、その後雨後の筍のようにあちこちに「横丁」が出現しました。

 

 

インバウンドの観光客で「横丁」はカオス状態

東京駅前の東京ミッドタウン八重洲内には、ヤエパブ(ヤエスパブリック)を構成する「ロジウラ」と、立飲みスポット「ALL STANDS」があります。

 

東急歌舞伎町タワーにも予想通り歌舞伎町横丁が登場しました。10店舗1300席という巨大さです。 

 

渋谷・ミヤシタパークには渋谷横丁、虎ノ門ヒルズには虎ノ門横丁、ご親切にコインロッカーまであり、荷物を預けて飲み歩きできます。

 

人形町にはハシゴ楼横丁、10階建てビルの1階から5階がすべて飲食店で18店。

店内内装はオーナーの三菱地所負担で出店しやすいためか、公募したところ想定以上の応募があったそうです。

 

今やビル内の横丁フードコートは人気スポットです。観光客や若者の集客策のような戦略も見え隠れしますが、本物の横丁のように、見ず知らずの人たちが知合ったり、交流や文化が生まれるかは、今後の成り行きを見てということになるでしょう。

 

新時代の横丁とともに、昭和遺産の本物の横丁を今のうちに体験するのも一興です。昭和遺産とは言え、オーナーも若返り、昔とどんどん変わっているでしょう。

 

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
公認不動産コンサルティングマスター
竹内 健二