合計特殊出生率から見た子育て層の移住
厚生労働省が統計をとっているものに、合計特殊出生率(女性が生涯に産む子ども数の推計値)があります。
数値が高いところは、子沢山の町、少ないところは高齢化が進み、若い家族の転入が少ない町とも言えます。
出生率が2を超えるところは、沖縄や鹿児島が多いのですが、本州では京都府の福知山市、福井県のおおい町などが2に近い数値になっています。
ただし、ワーストに近い浦安市(1.11)のように、若い方が購入する家が少ないところや、ワーストの豊島区(0.81)や新宿区(0.85)のように、そもそも子育てしようと思って住んでいる人が少ないところ、また過疎地で仕事がないなどの環境が整っていないところもありますので、平均で見ても実態はわからないでしょう。
都市部でありながら、出生率が高い町は、子育て支援などの努力をしているところも多く、参考にされると良いと思います。
都城市の日本一大胆な移住促進策
1742市町村の中で129位の1.78という高い数値の町に宮崎県の都城市があります。
移住者が殺到している町として話題になりましたが、「日本一大胆な移住者促進施策」と言われています。
都城市の施策が、段々全国に広がって行くとも言われており、付け焼刃ではない長期的な策をとっています。
自然に人口が増える策として、3つの完全無料化(第一子から保育料無料、中学生までの医療費無料、妊産婦の検診費用の無料)を掲げています。
自然減対策としては、市民の健康増進で長寿化を目指して、高度な医療が行える心臓・脳血管センターを新設したり、保健師が公民館で指導したりしています。
そして、移住促進の大胆な目玉は、移住定住センターの支援による移住相談や職業紹介など、開始した年は年間1人だった移住者が令和4年には年間435人を記録しました。
そして次にとった施策は、夫婦と子供2人の世帯が、最大500万円受け取ることができる移住応援給付金です。
令和5年11月で、当年度は移住者が1041人にまで爆発的に増えました。船橋の「ふなっしー」を特別住民として迎え入れる話題づくりも巧みです。
空家対策もいろいろ
空家は何も地方だけではありません。
古くて済みにくくなり、改修費用も多大なのでそのまま放置している空家は都区部にもたくさんあります。
多くが木造密集地域で、代表的なのは中央区の佃などです。
通路が消防車が入れないほど狭く、構造も耐震性0に近い構造、貸したりするには莫大な改修費がかかり、建て替えるにも長屋建築でお隣とくっついているので難しく、できるとしても建築費が割高になり、放置されています。
中央区では首都圏直下型地震に備えて、これらの空家を買い取る施策に乗り出しました。
買い取った空家は解体して、地域公園などの空き地にするとのことです。現代版の「火除け地」のようです。
空家を相続するとき
空家を相続するケースがあると思います。
路線価が高い地域の空家ですと、相続税が増える場合があります。
そこで敷地面積200㎡までは、貸家の敷地で評価が50%減になる「小規模宅地の特例」を使おうと、空家を「賃貸募集していた」ことにしようとする方がいます。
例えば都市部で土地の相続税評価が6000万円が半分の3000万円の評価に下げられると、相続税が何百万円も違ってきます。
ただし、これは税務署で否認される可能性が高いです。
ちゃんと貸せる状態で維持管理しているか、不動産業者にいつ募集依頼して、業者はちゃんと募集活動をしているかまでチェックされます。
相続が起こってから、急に賃貸募集を始めても遅いので、注意が必要です。
すまいる情報東京 代表取締役社長
公認不動産コンサルティングマスター
竹内 健二
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