公示地価、23区は下落無し
3月28日に発表された公示地価(今年1月1日現在の地価調査)ですが、東京23区は下落地点がなく、住宅地、商業地とも需要が伸びている傾向を示しました。
表(©日経新聞)のように、商業地の上昇率ベスト5は全て浅草エリアで、訪日客の影響の激しさがうかがえます。
住宅地では、マンション需要が高いところが上昇率が高かったようです。
多摩地区も中央線や京王線沿いは2~3%上昇しましたが、バス便や丘陵地など、以前は憧れの分譲地だったところは下落しているところもあり、若い世代の流入が無く高齢化してゆく姿がイメージされます。
(出典:日本経済新聞)
地方では富良野が「第二のニセコ」状態に
地方の地価上昇エリアの特徴は主に3パターンあります。
① 訪日客増加による観光地
住宅地上昇率27.9%でトップだったのは北海道の富良野です。
特にアジアからの観光客に人気があり、ホテルや賃貸型のリゾートマンション、別荘などの建設が相次いでいます。
土地の安さからアジアの海外投資家が土地を購入するケースも多く、今後は海外投資家が所有するリゾートに海外観光客が滞在する、お金は日本で払っても受け取るのは同国人ということも出て来るでしょう。
商業地上昇率トップは道頓堀がある大阪中央区で25.3%の上昇でした。
ニューヨークタイムズが毎年発表している世界の「行くべき52ヶ所」に昨年は盛岡が2番目に取り上げられて一段と人気が出たこともあり、岩手県内上昇率1位は盛岡駅前通りでした。
「行くべき52ヶ所」2024年版では、3番目に山口が取り上げられていますので今年の観光客は増加し地価が上がるかもしれません。
② 交通インフラが整備されたエリア
新たな鉄道が通る、路線が延長される、相互乗り入れになる、などの交通インフラが整備されると、駅前の再開発がセットで起こり、地価が上昇します。
今年目立ったのは、商業地では北陸新幹線が開通した福井駅前(上昇率8.3%)、住宅地では新横浜戦が開業した保土ヶ谷エリア(13.0%上昇)です。
③ 子育て世代に人気のエリア
若い世代が流入したくなる政策をとった市町村も上昇しています。
宇都宮市(7.5%上昇)は市立小学校の新設をし、鳥取県の日吉津村(2.1%上昇)は、全国で4番目に小さい村ですが子育て支援センターやこども園を充実させ、若者の住宅購入支援もあり、鳥取県内では唯一人口が増えている村です。
少子化、過疎化の流れだからこそ、行政や住民の力が試される時代だと言えるでしょう。
すまいる情報東京 代表取締役社長
公認不動産コンサルティングマスター
竹内 健二
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