浦安ではコロナ前の25%アップ
7月1日に公表された全国平均の路線価は、前年比で2.3%の上昇を見せ、3年連続で前年を上回っており、2010年以降で最大の上昇率です。
これは新型コロナウイルス感染症からの経済の立ち直りとインバウンド需要回復、それに伴う不動産市場の活性化が大きな要因となっています。
路線価は、相続税や贈与税の計算をするときに使う土地の評価額です。
評価額が上がると、相続税や贈与税が増えやすくなります。
一戸建てだけでなく、マンションも土地の持分を持っているので、一戸建てよりは土地面積が小さい場合でも、計算は同じようにします。
具体的にどの位上がっているのか、当社事務所がある浦安市美浜三丁目の住宅地で見てみます(細かな調整率は無視します)。
コロナ直前の令和2年(2020年)の、1㎡当りの路線価が28万円、50坪(165㎡)の土地としたら4620万円でした。
それが、今年の路線価は1㎡当り35万円、何と4年間で25%アップしています。土地の総額で5775万円、相続人が3人の場合は相続税の基礎控除が4800万円ですから、すでにこの土地だけで基礎控除をオーバーして課税対象者になってしまいます。
このほか、マンションを貸していたり、株券や預貯金なども相続財産に加わりますから、基礎控除を引いた後の相続財産額が1億円を超える方が多いのではないでしょうか。
相続税率は、相続人一人当たりで割った評価額が5千万円から1億円の間ですと20%です。
この4年間に評価額が25%、1155万円上がったことで、相続税は土地分だけで231万円増えます。
今年からマンション評価も2倍に
上がったのは土地だけではありません。
日経平均株価も、コロナ直前は2万7千円だったのが4万円、1.5倍になっています。
安定した大きな会社の株を相続人全員で2000万円分持っていたら1000万円は上ったとして、税率20%として200万円、この部分でも相続税が増えます。
ちなみに相続人一人当たりの財産評価額が1億円を超えると税率は30%になります。
そして、報道でご存じの方も多いと思いますが、今年から行き過ぎたマンション節税を防ぐために、国税庁はマンション評価を時価に近づけるためマンションの建物の相続税評価方法を改正しました。
以前は、いわゆるタワマン節税と言われ、建物の相続税評価額は固定資産税評価額であることに目をつけ、例えば時価1億円するタワーマンションも相続税評価額では4千万円位になったので「現金減らし」が出来たうえで、時価の資産価値としては1億円のまま(相続人が相続税を払う時、評価4千万円として計算した税金を、1億円で売って支払うという錬金術のようなもの)という手法が通っていました。
難しい計算式になりますので割愛しますが、概ねタワマンの場合、相続税評価額は2倍前後になると言われていいます。
昨年までの計算で4千万円の評価額だったマンションは8千万円に修正され、差額4千万円の税率20%としたら、800万円税金が増えます。
またタワマン増税というのは通称で、3階建て維持用のすべてのマンションに適用されます。
ただし築年数の古いマンションは固定資産税評価額自体低くなっていますので、新築や築浅のタワマンほど影響は受けないでしょう。
いずれにしましても、現行の制度で行き過ぎた節税策をやっても、いつでも将来引っくり返される可能性があります。
時価と評価額があまり変わらないのであれば、増税に備えて現金化しても不利は少ないですし、またはいつでも納税時に売却しやすいマンションに組み替えておくのが、備えあって憂いなしの策ではないでしょうか。
すまいる情報東京 代表取締役社長
公認不動産コンサルティングマスター
竹内 健二
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