入口を間違えると出口は見えず

私が受けるご相談の割合で高いのが「終の棲家」に関しての具体的な手順とお金のご相談です。

 

人生の最後にして、体力も時間も必要な一大事業ですから、ご相談相手に選んで頂いた意味を汲んで、ベストを目指して進めたいと思っています。

 

最初に「とにかく慣れ親しんだこの家に住み続けたい」という結論から入ってしまうと、あまりアドバイスすることも無いのが現実です。

それは望ましいことではありますが、資金的な余裕があり、介護もリフォームも老後資金も心配する必要がなければ、という前提に限ることが多いものです。

 

最近、立て続けに「リースバック」や「リバースモゲージ」に関するご質問が多いのも、そのまま住み続けられる、という結論に、気持ち的にフィットするからだと思います。

 

まずは、この二つについて、ざっとおさらいしておきます。説明は単純化していますので、実施する会社によってサービスの内容とは異なっている部分もありますが、大筋のところでご理解いただければと思います。

 

 

住み続ける見返りの大きさは

まず「リースバック」ですが、自宅を売却して、そのまま購入した会社を大家として賃貸として住み続ける方法です。

まとまったお金が入ってきますが、毎月の家賃を支払い続けなければなりません。

 

まとまったお金が入ることは確かに安心の一つですが、その安心を得るための犠牲も多いので、私は終活には必ずしも向いていないと思っています。

 

犠牲の一つは「売値が半額くらいになる」ということ、もう一つは家賃を払い続けるということです。

なぜ半値か、それは急いで売る必要がある方に向いている方法だからです。

 

現在支払っているローンが払えない、事業資金でまとまったお金が要る、だけど引っ越せない、という方が急いでまとまったお金を得たり、ローンより低い家賃になって助かる、言葉は悪いですがその代わりに安くなります。

 

即現金を用意する代わりに安く買うのは決して悪いことではなく、道理に沿っています。

ただし、急いで現金化する必要がないにも関わらず、そのまま住めるという点だけで決めてしまうと金銭的なロスも大きくなります。

 

それを分かっていて実行するのは、損が影響しないくらい資金的な余裕のある方と言えるでしょう。

それらの方にとってはマッチしているかもしれませんが、資金が有り余っていない方は熟考を要するでしょう。

 

次の「リバースモゲージ」ですが、リースバックと異なり、売らずに不動産を担保にお金を借りる方法です。

不動産担保ローンと異なるのは、相続の時に売却してローンを清算し、何も残らない形になる点です。

 

不動産担保ローンの場合も売って清算する必要があるケースもありますが、相続の時でなくても良いですし、売った金額からローンを返済して残りがあれば自分のものとして使えます。 

 

リバースモゲージの場合は、相続時に売って終わりですので、相続時に遺産分けの対象にならないため、相続人予定者の承諾が必要になる場合もあります。

 

まとまったお金が入る点では「リースバック」と似ていますが、将来の相続時の売却価格はわからないので、融資額はやはり一般に売る場合の半値位になるケースが多いようです。

融資するほうは将来下落して損するかもしれないので半値で担保に取ることは、これも道理には沿っているでしょう。

 

こちらも生涯住み続けられるという見返りに、利息を払い続け金銭的なロスは大きくなります。

余裕のある方、またはロスを納得して実施することをお勧めします。

 

 

明日の希望を一緒に創る

終の棲家をどうするか、この大事業に同行する私たちの使命冒頭に「住み続ける」という結論ありきですと、あまりアドバイスすることがないと申し上げましたのは、金銭的余裕がある方は損をしても得るものの価値のほうが大切という選択肢があるためです。

 

私共がお役に立てるのは、大多数の「手許に残るお金は多いに越したことはないし、かつ終の棲家で幸せに暮らしたい」という方に対してです。

 

一人暮らしには大きすぎる家を売って、身に合った家や施設に移り、余りの資金で自分にも子供や孫、寄付などにも役立てる。または自宅を売らずに貸して資産として子供に残しつつ、入ってくる賃料で自分用の家を借りたりする。

希望に共感し共有しながら、そのような様々なプランを立てるだけでなく、具体的に実行のお手伝いをすることが私たちの使命です。

 

何年かかってもお付き合いし、同行致します。

文章はややこしいという方も、まずは雑談からでも結構ですので、私たちの知識と経験をご利用して頂きたいと切に願っております。

 

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
公認不動産コンサルティングマスター
竹内 健二