この4月1日に施行、罰金ありの相続登記の義務化
所有者が分からなくなる土地の発生を防ぐため、相続人が不動産取得を知った日から3年以内に名義変更の登記をしない場合は、10万円以下の過料の対象になります。
「知った日から」というのは、親戚が亡くなって自分が法定相続人になっていたが、そのことを知らない場合もあるためです。
過料は刑事罰ではなく行政罰なので前科はつきませんが、気持ちの良いものではありません。
また、相続登記しても、その後転居などで住所が変わった場合は、住所の変更登記も義務化されました。
こちらは令和8年まで猶予期間がありますが、その間に変更登記しないと5万円以下の過料の対象になります。
一世代放置すると、共有者が何人も増えて収拾がつかなくなります。
父母の相続ならまだ相続人が分かっても、祖父母の代の相続ですと、会ったこともない親戚が相続人になっているケースもあります。
相続登記をした方も、登記したときの住所と現住所が同じか、一度チェックして下さい。
面倒だから、お金がかかるから、という理由で放置していたことを、この機会に整理してはいかがでしょうか。
登記は自分でもできますが、専門家に依頼して代行したい方は、適切な司法書士の先生をご紹介します。
間もなく一年、不要な土地の国庫帰属制度の状況は?
昨年の5月にスタートしたこの制度ですが、約11ヶ月経った今年2月末までの統計が法務省から発表されました。
申請総数は1761件で土地の内訳はグラフのようになっています。
気になる国庫への帰属(承認)件数は150件、8.5%となっています。
相談件数は数十倍あったとみられ、その段階で対象外の土地はふるい落されますので、申請を受け付けられた土地でも引き取ってもらえたのは1割以下ということになります。
それでも、相続した宅地や山林、農地などを国に引き取ってもらいたいとお考えの方は、法務省のホームページで「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」がありますので、ご自身の土地が対象になるかどうかチェックしてみて下さい。
対象になるようでしたら、その土地がある都道府県の法務局本局で、予約制で対面相談が受けられます。
一人30分程度とのことですので、土地の資料や写真、チェックシートなど準備して行かないと時間切れになってしまいます。
引き取ってもらえるかどうかの審査は、役所の現地調査もあるため1年位かかるようです。
また「いらない土地を国に引き取ってもらい、厄介払いできる」という誤解がありますが、引き取ってもらえるとしても、10年分の管理料の支払いが条件です。
原則は土地1つに対して20万円ですが、市街化区域内の土地や農地などは草刈りなどの費用がかかるため、別途計算になります。
例えば100坪(330㎡)の宅地は約109万円、1反(990㎡)の農地は約112万円、1町歩(9千9百㎡)の山林は約37万円の負担金が生じ、決して「タダで引き取ってもらえる」訳ではありません。
更地でないといけませんので、古家があったら解体費も数百万円かかります。
タダで引き取ってくれる人がいれば、そのほうが得な場合もありますので、比較検討して頂ければと思います。
今年の1月1日以降の贈与、相続前7年間は繰り戻し
贈与税の年間110万円基礎控除は使い勝手が良いので利用されている方も多いと思います。
昨年までは相続開始前3年間の分のみ、相続財産に繰り戻せばよかったのですが、今年から7年間になりました。
その代わり相続時精算課税制度の2500万円控除にも、今まで出来なかった110万円の基礎控除を加えて良いことになりました。
この場合は基礎控除部分は7年前まで遡って加算する必要がなくなりました。
贈与する相手が、18歳以上の子や孫に限定されるなら、110万円の暦年贈与より有利になる場合がありますので、検討したいものです。
すまいる情報東京 代表取締役社長
公認不動産コンサルティングマスター
竹内 健二
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