●相続税や贈与税の土地の評価は、原則として路線価で計算することになっています。
その年の1月1日の価格として、7月上旬に公表されます。
国内で初めてコロナ感染者が確認されたのが、昨年の1月16日でしたから、昨年の相続にあってはコロナによる影響は反映していないことになります。
さて今年の7月に発表される路線価は、コロナ真っ最中の地価ですから、反映されるものと思いますが、あくまで実際の取引時価に応じた取り扱いになるものと思います。
時価が上がっていれば路線価も上がると思われます。
路線価が上がれば、相続税への影響が出てきます。
2年前の令和元年7月に施行された相続法改正で、再び脚光を浴びている夫婦間贈与を、コロナ下でも地価が上がっている浦安の例で今一度考えてみるキッカケになれば幸いです。
地価って色々あるのね・・・
今年は3年に1回の固定資産税の評価替えの年です。
固定資産税をかけるための評価額は、浦安では、土地は概ね上昇しています。
この固定資産税評価額は、相続や贈与のときは、建物だけ使い、土地は路線価を使います。
今年の路線価は7月に公表されますが、当社がある美浜地区で見てみますと、ここ四年間路線価は上がり続け四年間で12%の上昇です。
また先ごろ公表された地価公示価格は、国が「正常な価格(売り急ぎや限定的な高値の購入でない価格)」を判定し公表するものです。
実際の取引価格に一番近い価格と言われています。
同じく美浜地区ではここ4年間で2%くらい上がっています。
これらの公的な価格は、実際の取引価格(時価)が基本となっています。
つまり、実勢価格が上がっていると、コロナ下でも、固定資産税評価額や路線価は上がることを意味します。
美浜4丁目の路線価(国税庁資料より)
年度 |
坪単価 |
H29 |
81万円 |
H30 |
84万円 |
R1 |
86万円 |
R2 |
91万円 |
R3 |
? |
相続や贈与に影響する
路線価が上がると、相続税が増えたり、贈与できる分が減ったりします。
美浜4丁目地区で見ますと、時価に一番近い公示地価は坪当り換算すると104万円です。
路線価は91万円です。
公示地価は時価の9割、路線価は時価の8割といった水準です。
土地が50坪として、相続時に路線価で計算すると土地は4550万円にもなります。
相続人が3人の場合、建物も加算されますので、一戸建てだけで相続税の基礎控除額4800万円になってしまいます。(配偶者控除や評価減できる特例など考慮せず)
そこで、再び見直されてきたのが、「婚姻20年以上の夫婦間贈与2000万円の特例」です。
再びと申しましたのは、前回脚光を浴びたのはバブル時代で、売却したときに売却益から3000万円控除できる特例を2人分使えた時でした。
相続法改正で節税
令和元年の改正で、夫が妻に、夫婦が住んでいる家を生前贈与した場合、妻は改正以前よりも多くの遺産を受け取ることができるようになりました。
夫婦間の自宅の生前贈与は「遺産の先渡し」を受けたものと考えなくてよくなったからです。
ただし、改正前の生前贈与であっても、遺言書で「生前贈与による特別受益(遺産の先渡し)の持ち戻しは免除する」旨を意思表示すれば、同じ効果がありますので、一文を入れるようにして頂ければと思います。
この2000万円分の生前贈与が、相続財産に加わるか加わらないかで相続税が変わってきそうな方は、ご検討の価値があるのではないでしょうか。
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