地価公示は5年連続上昇だが

3月18日に発表された地価公示は今年1月1日時点の地価ですから、コロナ禍は反映していません。

商業・工業・住宅の全国全用途平均は前年比1.4%のプラスと5年連続で上昇になりましたが、上昇率の高かった沖縄県や北海道の倶知安町(ニセコ)は、訪日外国人客によって経済が活発化して土地価格が上昇しました。

 

外国人の入国規制の拡大や長期化が進めば、真っ先に影響を受けるのは、こういった地域です。

都心部でも浅草などの観光地の上昇率が大きいですが、現在の閑古鳥が鳴いている姿とは格段の印象の差があります。

高額で購入されていたホテル用地などは、今後未着工のままの可能性もあります。

 

また地価公示に関する国土交通省の背景分析は、「景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下」という前提です。

景気判断はすでに引き下げの段階に入っていて、コロナ禍以降、世界的な株安に見舞われています。

 

中小企業の倒産などが連鎖的に起これば雇用・所得環境の悪化は避けられず、前提条件が崩れてしまえば、地価公示の結果を額面通り受け入れるのは難しいと言えます。

 

再開発地域はどうか

コロナ禍の修正が必要な今年の地価公示

数万人訪れた新駅(3月15日撮影)

3月14日に山手線としては49年ぶりの新駅「高輪ゲートウェイ駅」に行ってきました。

有名建築家の設計によるモダンな駅舎です。久しぶりに大勢の人が集まっている姿を見ました。

 

再開発によっても地価は上昇します。

ただし、観光ニーズによる直接的な地価上昇と動きは異なります。

高輪ゲートウェイ駅私有編の地価変動率を見ると、再開発が発表された時がピークになっています。

 

渋谷駅も大規模な再開発を行っていますが、地価上昇率のピークは工事着工前です。

再開発の話が出た時点で、将来の値上がり期待で高額な取引が行われるためです。

コロナ禍以前の訪日客を当て込んだ商業地の上昇、オフィス需要を背景としていますが、図らずもコロナ禍で一気に拡大してきた「テレワーク」によってオフィス需要も変わる可能性があります。

 

ホテルが値下げによる宿泊客の確保に必死な状況で、居住性に劣る民泊は壊滅的と言われています。

借りる人のことを思った、地道で誠実な長期的な不動産投資が、やはり王道だと見直される機会になるかも知れません。

 

コロナ禍終結以降の反騰は

コロナ禍終結宣言がいつ出るか、終結後の「復興景気」が来るという見方をする人もいますが、今回は世界的な連鎖した経済の疲弊です。

すでに中国で生産していたトイレなどの住宅設備の在庫がなくなって建物が完成できない影響が出ています。

さまざまな分野で、考え方が変化するでしょうが、本当に必要なものと、そうでないものが明確になる機会とも言えます。

この機会が、そのことを考えるキッカケになればと願っています。