昨年12月20日に、令和2年度税制改正大綱が閣議決定されました。

今国会で可決されれば施行されます。

その中で、一般の不動産売買に関係する改正を取り上げてみます。

まずは「新設」されるのが「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」です。

 

相続した田舎の土地の売却向け

関東でも、東京から50キロメートルくらい離れた地方の町の地価は、坪10万円以下のところがざらにあります。

そうした地域に、相続したけれど、誰も使っていない古家を所有する方は相当数あると思います。

 

どうして放置したままになっているのか、それは建物を壊して更地にすると土地の固定資産税が5~6倍に跳ね上がることは良く知られていますが、売却処分するにも経費や税金がかかり、わざわざ苦労して売るのも面倒だ、という理由が多いものです。

 

このような利用されていない土地や古家を放置することは、美観や防犯面の問題だけでなく、人口減少にも拍車がかかるため、今回税金の優遇を打ち出しました。

 

例えば、郊外の坪10万円の土地40坪に古家がついている不動産で比較してみます。

売買価格は400万円、そこから建物の解体費200万円、仲介手数料や測量費などの経費が80万円かかるとします。

売却した場合の税金は、こういったケースですと概ね40万円位でしょう。

そうすると手取りで残るお金は、80万円です。

80万円のために、労力やプライベートの時間をかけたくないという気持ちはよく分かります。

 

今回の税制改正では、売却益から100万円引いて税金計算をして良いことになりますので、税金は20万円節約になります。

この額がモチベーションになるかどうかわかりませんが、たとえば売却益が100万円以内であれば、税金はかからないということですので、それなら売ってしまおうかな、というキッカケになるかも知れません。

問題は買ってくれる人がいるかどうかですが・・・。

 

特例の条件が厳しくなるもの

益が3000万円までは通常20~39%かかる税金が免除されます。

ただし売却した後に自宅をローンで買った場合、売った時とのインターバル期間が3年間ないとローン控除は使えません(先に買って、後で売るのでも同じ)。

 

このインターバル期間が4年になります。

30年前以上に購入した自宅や、住宅不況だった2000~2005年頃に購入した自宅は売却益が出やすいので注意が必要です。

 

所有者不明不動産の固定資産税

登記簿に所有者として登記されている方が死亡している場合、市町村長は、登記していない現在の所有者に、固定資産税を徴収するための必要事項を申告させられるようになり、罰則も設けるという改正です。

 

どうしても所有者が分からない場合は、住んでいる人に課税できる、という改正が盛り込まれています。登記の有無は関係なくなります。

 

期間限定の特例が延長になるもの

自宅の買い替え特例、事業用資産の買い替え特例、登記の税金、契約の印紙代などは若干の見直しはありますが、概ね2年延長されます。