高齢化に伴って発生する頭の痛い問題、「いらない土地を相続したときのこと」や「認知症の後見人」について国や裁判所の方針が出てきました。

今回は予備情報としてお知らせ致します。(竹内)

 

日本経済新聞より引用

 

九州の広さに及ぶ所有者不明土地、長期相続登記等未了の土地を活用できるようにする

「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」は昨年2018年に成立しています。

利用されていない所有者不明の更地(空き家付きなら代執行で更地にしてから)を地域に役立つ事業・・・直売所、移動式コンサートホール、保育園建て等のためなら、事業主体が民間でも、その更地に知事が最長10年の利用権を設定します。

今年6月施行です。

それに先立って昨年11月に登記手続き部分等が先行して施行しています。

死亡後30年超相続未登記なら「長期相続登記等未了土地」と名付け登記官が相続人を探し付記します。

登記簿甲区の最終所有者(死亡者)欄に「長期相続登記等未了土地」と付記し、各相続人の住所記載の法定相続人の関係図を別紙「法定相続人情報」付属書類として作成し法務局に保管されます(一般非公開)。

 

違反者に罰金も検討されている相続登記義務化や土地放棄制度へ

法務省「登記制度土地所有権の在り方等に関する研究会」報告書が今年2月に公表されました。内容は・・・

・相続登記を義務化し違反者には罰金を検討すべき。

・所有権の放棄を認める。①所有者が管理費用の金を払う ②災害で危険な状態 ③土地の買い手がつかない 等を満たす必要あり。放棄後の帰属先や財政負担が課題となっています。

・所有者不明の放置土地を「放棄したとみなす」ことも検討すべき等。

来年(2020年)秋の臨時国会に改正法案提出を目指すとしています。

 

持ち主が王様でなくなる・・・土地基本法の改正

バプルの反省ともいえる法律、土地基本法は「土地は公共の福祉を優先させる」と定めています。

その30年振り改正へ向け国土審議会の報告書が公開されました。

 

特に「責務を果たさず近隣に悪影響を与える場合に所有権が制限を受ける。」という点が、現在の「所有権は他人が触れない」、結果として公共の福祉が阻害される現象を解決しようという意思を感じます。

来年の通常国会で法改正へ向ける模様です。

 

家裁と正反対・・・「後見人は家族が望ましい」と最高裁が考えを表明

成年後見制度は超高齢社会を支える大切な仕組みです。

しかし、認知症高齢者は500万人を超すと言われているのに、利用は約21万人(2017年末統計)と伸び悩んでいます。

専門職に後見人を頼む経済的な負担や裁判所への報告義務など、大変な労力やお金のことが壁になっていると言われます。

 

そんな中、3月に最高裁判所は「後見人には身近な親族を選任することが望ましい」との考え方を示しました。

後見人になった家族の不正などを背景に弁護士ら専門職の選任が増えていましたが、この傾向が大きく変わる可能性があります。

制度の利用が低迷している背景があるものと思います。

国は、利用者がメリットを感じる策として、後見人の交代も今までは「交代不可」不祥事など極めて限定的な現状でしか出来なかったことを改め、状況の変化に応じて柔軟に交代・追加選任を行うとしています。