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「すまいる通信10月号」 @すまいるたけチャンネル
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こんにちは。代表の竹内です。
いまお客様より築80年になる京都の町家売却をご依頼いただいて、何度か京都に行ってます。
しっかりした家で、80年前の職人さんの意気を感じて、とても良い気分になれます。
古い家の良さは、趣味嗜好だけではなく、職人さんの技術とそれを裏打ちする矜持を共有できることにあります。
家だけでなく、鞄でも万年筆でも、一生物と言われるのは、長く使えると言うより、長く付き合えるところが値打ちだと思います。
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当社の前にコンビニエンスストアがあるのですが、先日、職人姿の方がコーヒーマシンのところで、こぼしてしまったミルクを一生懸命拭いていました。
一見つまらないことのようですが、私は頼むのだったらこんな職人さんに頼みたいと思いました。
きっと仕事に手抜きは無く、いつも現場はきれいなはずです。
些細なことを疎かにせず次の人のことを考えて自然に振舞えることを尊く感じます。
今回のコロナで、一時的にせよ人の行動範囲が狭くなりました。
その意味では、身近なところに、関係ない人から見れば、些細でつまらないことに身を入れている人を見られたのは、真心(内なる声)レベルで良いと感じた物や人を選ぶ時代の幕開けだったのではないかと思うところです。
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折しも、先日ノーベル賞の発表がありました。
内容はチンプンカンプンですが、モノになるかどうかも分からず、恐らく「そんなつまらないことに熱中して何になるのか」という声の中で、ブレずに研究を続けてきた科学者の姿には心打たれます。
そんな心持ちのとき、本屋さんに行くと、パッと目に入る本がありました。
「くだらないものが わたしたちを 救ってくれる(柏書房刊)」という、32歳の韓国の若い研究者キム・ジュンさんが、科学の苦しみと楽しみの日常を描いた本です。
キムさんが研究しているのは、線虫(せんちゅう)という、土の中に生息している肉眼では見えないくらいの小さな虫の遺伝子の進化についてです。
「そんなくだらないものを研究して何になるんだ」「もっと役に立つことをやったらどうだ」「もっと儲かることをやれ」という回りの声が聞こえてきます。
この研究をしても就職先もなく、長時間労働の研究で、おそらく貧乏。
でもキムさんの筆致が明るいのは、この小さな虫が好きでたまらなく、小さな発見が楽しいからです。
そして本気で、みんなが「くだらない」といっている研究が将来私たちを救ってくれると信じているからでしょう。
科学者は、その誠実さゆえ、大向こう受けする大言壮語はしません。
それは実直な職人さんと通じるものがあります。
「つまらないもの」を大事にする中に宝を見つけられれば、それも幸せを感じられる一つではないでしょうか。
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