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「すまいる通信8月号」 @すまいるたけチャンネル
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こんにちは。代表の竹内です。
酷暑にコロナ、台風、大雨のお盆休みが終わりましたが、お元気にお過ごしでしょうか。
こういう時は、ジタバタせずに思い切り怠けてみるのもいいですね。
古今東西の怠けものの話を集めた「怠けものの話」という本が筑摩書店から出ています。
帯は、ずばり「なにごともせぬのが一番」。
ただし中身は、ドストエフスキー、モーパッサン、魯迅、谷崎潤一郎、坂口安吾など、名だたる文豪が書いた怠けものについての掌編集です。
その中の一つに、自身が北九州の炭鉱で働いた経験がある作家の上野英信さんが書いた「スカブラの話」という一篇に、自分の経験もあって入り込みました。
「スカブラ」というのは、「仕事がスカんで(好かんで)、いつもブラブラしちょるけん」という意味の、炭坑内の怠けもののことだそうです。
炭坑内で、他の皆が真っ黒になってツルハシを振るっているのに、一人だけツルハシも持たず、皆のところに行っては駄法螺話で笑わせたり、しょっ中事務所に時計を見に行って、休憩や昼ご飯や終業の時刻をふれて回ったりしてサボっている人です。
ところが、汗水流してつらい労働をしている他の炭鉱夫からは、表向き馬鹿にされながらも愛されていました。
なぜかというと、スカブラがたまに休んだときは仕事の能率が上がらず、時間が何倍にも長く感じられたからでした。
全員がサボらずに働いた時よりも、一人のスカブラという怠けものがいるときの方が能率が上がるという事実に、効率では計れない人間の妙を感じます。
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「自分の経験」というのは私が中学時代にバレーボール部だった時の経験です。
私はバレーボール選手としては背があまり高くなく、とりたてて上手くもありませんでしたので、ほとんどコートには出ずベンチでブラブラしていました。
しかし何故かキャプテンを任されていて、味方がピンチになると監督から「行け!」と言われてコートに出たのです。
と言っても鮮やかな技で逆点するなどという格好いいものではなく、コートの中でワーワー声を上げてムードを盛り上げるだけなのです。
ヘボですから相手に狙われて、頭でボールを受けてしまったり、自チームだけでなく相手からも笑いものにされましたが、いつの間にか逆点していることが多かったのです。
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以前は街中にも、表向きは軽んじられ笑われていますが、その実、憧れや尊敬の念を持たれていた人がいたように思います。
笑いを閉じ込めて無視するよりも、思いっきり笑ってあげられる世の中のほうが幸せな気がします。
なぜなら、スカブラという怠けものは、やはり全身全霊で怠けているからだと思います。
コロナや災害で自粛し笑ってはいけないムードが蔓延するときこそ、愛すべき笑いが必要な時代ではないでしょうか。
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