四月、生命の息吹を感じる新緑が美しい季節ですね。
15年前のこの時期、「生命の詩」という詞に出会って、あるコンサートを企画しました。
台湾出身で、現在はニューヨーク在住のアーティスト林世宝さんの詞に、知人のミュージシャン矢吹紫帆が曲をつけました。この曲を聴いて深く心動かされ、ぜひこの曲を入れたコンサートを開きたいと思ったからでした。
ちなみに、林世宝さんは、愛知万博で展覧されていた「知恵の門」というオブジェを造った方でもあります。
生命の詩(詞:林世宝) (日本語訳) 人生は舞台 舞台は人生 晴れの日もあれば 曇りの日もある だからこそ 生きる意味がある 人生が芝居 芝居が人生 この広い宇宙 限りない景色 人生は舞台 舞台は人生 歴史の一ページ 人生が芝居 芝居が人生 明るくとも 暗くとも ひたむきに生きていこう |
矢吹さんの出演で、コンサートは、地元の高校生や授産施設の子供たち、大人、台湾からも友人らを招待して大盛況でした。もちろん「生命の詩」も歌ってもらいました。
「人生は舞台」とは、シェークスピアの「お気に召すまま」の中の台詞が有名ですが、きっとそれ以前にも、いろいろなたとえ話であるのでしょうね。
私がこのコンサートを通じて感じたことは、舞台や芝居は、決して行き当たりばったりで良いものはできない、たった2時間の公演のために、大勢の人の手間隙がかかっているということでした。この企画は準備に1年かかり、関わった人は50人以上にもなりました。
一緒に準備作業する人、皆が「良いものにしよう」と心を合わせ、観客に感動してもらうにはどうしたらよいか考え、そしてやり直しの効かない本番を迎える、日常生活や仕事でも、本当のところは、舞台づくりと同じように出来たら、どんなに素晴らしい世の中になるだろうと思ったのです。
私にとっての、「人生は舞台、人は役者」という意味は、決して悟りの言葉ではなく、人間関係や生きがいを増すための考え方の基準です。相手(観客)のことを考えて、ある時は演者として、ある時は観客として、どうしたら、もっと喜んでもらえるか、お互いに気遣う事ができれば、もっと世の中の平和な発展につながって行くのではないかと思っています。
四月、この広い世界という舞台で、様々な人の演目が変わる時期です。貴方様の登場する次の舞台に、観客としてか、裏方としてか、共演者としてか、わかりませんが、どこかで関われることを祈ってやみません。
竹内 健二