若葉美しい季節ですね。植物を見ると、いつもその生命力の前に謙虚な気持ちになれます。

千葉の検見川遺跡から出土した2千年以上前のハスの種の化石が開花した大賀ハスが有名です。種が死んだのではなく、2千年以上眠っていたという事実には多くの勇気とインスピレーションをもらいました。

2千年経っても、花が咲いた時の記憶が残っていて、見事に再び咲く、人間にもこのような記憶があるとしたら、今起こっていることの中にも何代か前の祖先の行動を体が記憶していてその記憶に基づいていることもあるのではないかと思います。
この大賀ハスが株分けされたハス池が東京郊外の町田にあり、多摩で仕事をしている頃、ちょっと行き詰ったりすると『小さいことにこだわるな』と勝手に励まされに行っていたことを思い出します。

三木成夫さんという解剖学者の本には「生命記憶」に関するものが多くあります。人体を40億年の記憶のスケールで捉えていて、これほどスケールが大きくなると、自分が生きている間だけの「生命」ではなくて、自分が大昔から続いて、また、遠い未来につながっているような気がします。今の与えられた命を精一杯こだわらずに生きようという力が湧いてきます。

植物には、動物にはない生命力というものを常々感じます。過日、地下農園というものを見学する機会があり、太陽の届かない地下で育つ農作物を見てきました。条件さえ整えば、ほぼ、無制限に育つ植物の『素直さ』に感動を覚えました。つくば科学博で披露された1本の樹からなった1万2千個のトマトも、生育に良い条件を整えるより、悪い条件を取り除く、という発想だと聞きました。

何か我が身の子育てにも通じるところがあって、日頃、与えすぎ、教えすぎになりがちなのですが、与えるより、「悪い条件を取り除く」方が、素直に大きく育つような気がします。

私たちは、結婚、独立、子供の成長、親の呼び寄せ、別離死別など、お客様の人生の節目にお住まいのことを通して立ち会う仕事です。そんな場面で、出来るだけ、ご自身で納得して決断できるよう、考える必要もない悩みや不安などを「取り除ける」存在でありたいと思っています。

竹内 健二