コロナと定年
私も会員になっている、ふるさと回帰支援センターへの相談件数は過去最高とのことです。
東日本大震災で地方移住を決断したのは若い方が多かったそうです。
今回は世界的な新型コロナの流行、定年時期と重なった方には、また違う動機が生まれていると思います。
(竹内)
長い間空き家にしていた実家へ
Tさんのご両親は10年以上前に他界しており、一人っ子のため、関東近県にある実家は長い間放置していました。
お墓参りの時くらいしか換気をしていなかったので、行くたびに古びて行くような感じがしました。
処分しなかったのは、車一台分にもならない売却価格だったこともありますが、家の中の荷物を片付けるのが億劫で、つい先延ばししていたためです。
転勤が多かったTさんは賃貸派だったので、都内のマンションの賃料は、定年後の収入では荷が重く、小さめのマンションを買うか、どうしたものか相談に見えられました。
地方都市とは言え、Tさんのご実家は特急も停まる駅、生活の不便さはありません。
再就職も余り考える気分にもなれなかったので、今すぐ都内に小さめのマンションを購入せずに、奥様も同意されているので、いったん実家に住んで、馴染めばそのまま住むも良し、資金は都内で賃貸用不動産の購入に充てるとか、地価が安い地元でアパートを建てるという途もあることをお話しました。
奥様に収入を残せるためです。
また、転勤族だったTさん夫妻は、見知らぬ街に住むことへの抵抗感が少なく、じっくり移住先を探しても良いように思いました。
その時は、ご実家をリフォームして貸しても良いと思いました。
調べたら賃貸の需要もそこそこありました。
2、3年後にまたご相談しましょうとお別れし、そろそろ時期が来ます。
賃貸で「お試し住み」してみた
千葉県内にお住まいのDさんは神社仏閣好きでした。
定年後は思う存分巡ってみたいと思っていましたが、自宅から旅行者として行くのではなく、近くに住んで日常生活の中に取り込みたいと思っていました。
神社仏閣好きの私も、どこに住むか一緒になって面白がって候補を挙げてみました。
Dさんは持ち家で、更にお子さんたちが小さい頃買った小さなマンションが房総にありました。
具体的なご提案の段になって、それでは移住先は、ひとまずUR賃貸にして、ご自宅は5年限定の定期借家で貸す、万が一早くギブアップしてしまった場合は、自宅が空くまで房総のマンションに身を寄せるか、自分が賃貸に入って自宅が空くのを待つというプランを作りました。
UR賃貸で「お試し住み」をお薦めしたのは、賃料一括前払いすれば無職でも借りられることと、個人オーナーではないので、根掘り葉掘り審査されることはないためです。
全国で主だった23都道府県にあるので、選り好みしなければ見つかりやすいこともありました。
マンションですから、田舎特有の濃密なコミュニティに時間をとられることも少ないでしょう。
定年後の移住は、若い方が子育てのために移住するのと違って、街としても税収があまり見込めないので、大歓迎という訳でもないと聞きます。
ただし起業する方は、雇用も生まれ、税収も望めるので、様々な支援策があります。
Dさんは、街にとって「お客さん」の時は賃貸でわきまえて暮らし、ここぞ、というところが見つかったら、機械設計のスキルがあったので、起業して家もそこで買おうと思っていました。
これからの続報を楽しみに待っているところです。