【ご相談までの経緯】
Fさんの伯母Nさんは数年前にご主人を亡くした92歳、都内で一人暮らしをしています。
お元気で一人で出歩けます。
お子さんは無く、兄弟姉妹も全員鬼籍に。
甥姪はたくさんいますが、一番仲の良かった妹の子であるFさんが自然と世話をしていました。
Fさんも伯母さんには可愛がってもらったから、とよく面倒をみられていました。
ところが、Nさんから「お金を用立てて」と言われて異変に気付きました。
ご主人が残してくれた家を売ったお金や、預貯金もほとんど遣ってしまい、残高は数十万円。
年金で生活はできるものの、いずれ施設に入るお金などが不足します。
孤独がちなNさんは、老舗のデパートのVIP客でした。
高額な着物や宝石を買って、わずか2年で数千万円遣っていました。
知人にも大盤振る舞い、宅急便の配達の人には高額なチップなど、あるだけ使っていました。
これはまずいと思いFさんは預金通帳を預りました。
Nさんは認知症ではありませんが、時々預金がまだあると思って、お金を下ろしに行くとか言い出し、強く意見すると、他の甥姪のところへ行って同情を買うようになり、Fさんが預金を遣い込んでいると疑う親族も出始めました。
Fさんの奥さんも夫の親族だからと手伝っていましたが、通帳を預かったばかりに、あらぬ疑いをかけられたり、Nさんに引き回され、疲労の極致になっていました。
いよいよ限界に来てしまい、このままでは奥さんが「里へ帰らせていただきます」という危機になってしまいました。
そんな状況の時に相談に見えたのです。
Fさんに伺ったら、今後もNさんを看取り迄、自分ができることがあれば支えたいとのことでしたので、法的にしっかりとした立場で、トラブルにならないようにするお手伝いをしました。
●すまいる情報の顧問弁護士事務所へ同行して相談
Fさんご夫妻には、次のような気になることを出して頂きました。
①判断能力はあるけど身体が動かなくなってきたときのこと
②認知症などで財産管理が難しくなったときのこと
③亡くなった後の葬儀や納骨、役所での事務手続き等のこと
④亡くなった後の遺産のこと
弁護士からは、それぞれに委任契約というものがあり、Nさんが元気なうちなら公正証書に出来るというアドバイスがあり、依頼しました。
①→ 財産管理委任契約
②→ 任意後見契約
③→ 死後事務委任契約
④→ 公正証書遺言
●いろいろある「委任契約」
たとえば、食事を作る、家事手伝いや身の回りの世話等の介護行為は任意後見契約の対象外です。
これらは、別に準委任契約を結び、任意後見契約発効後も終了しない旨を定めておくとよいでしょう。
また、入院・入所・入居時の身元保証、医療行為についての代諾も任意後見契約の対象外となります。
見守り契約(定期的に訪問するなどして見守るという契約)なども、任意後見契約とセットで結んでおくとよいでしょう。
これらのことを、甥姪たちに通知しましたが、財産もさほどなく、進んで介護を引き受ける人は誰一人なく、弁護士が遺言の証人としても立ち合いを行い、無事にすべての書類を公正証書で作りました。
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- シニア・老後・終活, 相続・遺産・遺言・贈与, 後見・信託