Fさんから、住宅購入のご相談があったのは、東日本大震災の復興が緒に就いたばかりの頃でした。

週刊誌やインターネットの無責任な記事で、まだまだ不動産は下がると、盛んに喧伝されていました。

 

Fさんは、リーマンショックの後も、同じような記事を見たことを思い出し、金融不況を震災という言葉に入れ替えただけではないか、と思ったりしました。

しかし、回りの知人などのムードに押されて、まだまだ買い時は先だと思ったり、でも皆が手控えているときのほうが、良い家を見つけやすいのではないかと思ったり、頭の中で堂々巡りしてしまい、ご相談に来られたのでした。

 

 

Fさん家族は実家の近くに引っ越してきて間もなく4年。

共働きで4歳、5歳の子供がいました。

勤務時間の関係で、保育園のお迎えなど、近くに住む母の手助けがなくてはならない毎日でした。

 

我が家を購入しようかと考えたきっかけは、子供が小学校に上がる前には家を買って、落ち着きたい、保育を手伝ってくれる母の部屋も一つ用意したいな、と思ったからでした。

 

 

通勤に便利のよい駅前のマンションか、実家に近い一戸建てか、迷ったこともありましたが、低学年のうちはやはり母に面倒をかけることも多いし、 最終的には実家の近くの一戸建てを希望しました。

 

そんなとき、大震災に見舞われ、家探しは一時中断しました。

生活が落ち着きを取り戻したころ、家探しを再開すると、 「何もよりによって今の時期に買わなくても・・・」と友人達は 「信じられない」といわんばかりの反応。

 

周りに合わせていれば気は楽ですが、何となくスッキリしない気分です。

だんだんと「決断疲れ」してしまいました。

 

 

Fさんは、すまいる情報の担当者に、30年家のお世話をしてきて、好況のときもあれば、不況のときもあり、今の3倍の価格になっていたバブル時代も経験して、その時々で家を購入する方がどんな決断をして、その後満足していたか、ぜひ聞いてみたいと思いました。

 

担当者は、お子さんがいらっしゃる家庭での住宅購入の一番の目的は子育てのためであること、もしFさんが子育てのために家を購入したいのであれば、長い人生で、子供達がそれぞれ自立するまで、家族が和気あいあいと暮らせるのは10年から15年が「旬」の時期、不便でも緑が多いとか、庭があるとか、孟母三遷のように教育環境が良いとか、親の価値観がしっかりしている方が、30年後にその家を売るときに、たとえバブル時代に購入して大きく値下がりしていても、「ここで子育て出来て本当に良かった」と回顧されることが多い実例をお話ししました。

 

お子さんのために、と思っても、高校、大学になれば、遠いとか、引っ越しが面倒だとか、ありがた迷惑な反応をされることも実際はあります。

 

 

Fさんは、家族皆が快適に過ごせる期間をできるだけ長くして、思い出もたくさん作ろう、という「目的」にたどり着きました。

無理しないで買える範囲であれば、気に入ったものがあり次第ゴーサインで行こう!と夫婦で決めたら、その決心を待っていたかのように実家の近くに手ごろな中古住宅が売りに出て、購入することが出来ました。