Jさんは、ここ数年正月になると憂鬱でした。

いま住んでいる賃貸マンション公共住宅で、毎年3月に少しずつ家賃が上がっていく「傾斜家賃」だったからです。

入る時は安くて良い賃貸に入った、そんなに長く住むつもりはないので、家賃が上がる前に出ようと気楽に考えていました。

 

しかし、賃貸でも分譲でも、一度住めば、家族にとっては我が家、だんだんとその家に合わせたライフスタイルになってきます。

引っ越しは、単なる家の変更ではなく、ライフスタイルの変更だと分かった頃には、すでに10年過ぎていました。 

 

今まで支払った家賃は2000万円以上だったこともあり、買うなら払った家賃を取り戻すつもりで「値下がりしてから」と思っているうちに、値下がり額を超える家賃を支払っていたので、決断がつかずやり過ごしていました。

子供さんも中高生になり、引っしたくないと言います。Jさんは仕事、仕事で、ここ数年、奥様ともお子さんたちとも、あまりコミュニケーションがなくなっていました。

 

そろそろ会社での収入の目途がついて来たJさんは、定年後もローンを払い続けるのは嫌だな、と今の環境から大きく変わらない場所でマンションを購入しようと重い腰を上げました。

 

いざ不動産屋さん巡りをしてみると、どこの不動産会社でも、今が底値、最低金利、と言われ、早く決断せよ、と迫ってくるので、ホトホト疲れてしまいました。

そんな時、当社のお客様と奥様同士が友人というご縁で、ご紹介頂きJさんとお会いすることになりました。

 

お金と相場が下がる時期のことばかりおっしゃるJさんと話し込んで行くうちに、Jさんの本当の不安は、ご家族とコミュニケーションがなくなって、ただ稼いでくる「透明人間」になってしまうのではないか、家を買って存在感を表したいという気持ちが根っこにあるように思えました。

 

そこで、賃貸と分譲のお金の損得は一旦考えから除いて頂き、一番の違いである「自分で好きなようにリフォームできる」点をお話し、家族みんなでリフォームを考えることで「共同作業」をしてはいかがでしょうか、とご提案しました。

 

手頃な価格で、リフォームが必要なマンションが、今の賃貸住宅から数分のところで見つかりました。

最初は乗り気でなかった中学生の娘さんも「お父さん、ほんとうの家になるのね」とやる気を出してくれました。

 

休日は、住宅設備のショールームに全員で行ったり、壁紙の見本帳を見て、ああでもない、こうでもない、と盛り上がったり、家を購入する事で共通の目標ができて、Jさんは本当に決断して良かったと思いました。

 

リフォームが完了して引っしたJさんは、今では子供たちが自分で仕上げた部屋に愛着を持ちすぎて、独立して出て行かないのではないか、という新たな不安が出て来たと、笑ってお話しして下さいました。

 

担当者から一言

人生の節目に家を移り住むことが多いものです。

親からの独立でアパート、結婚で2DKに、子供の成長に伴って3LDKや一戸建てへ、定年、老後にコンパクトマンションや老人施設へ、節目で、それに適した場所と家に移り住もうと考えるからです。

 

今回の実例のように、家族全員の共同作業で家を購入することができるのは、長い人生の間でも、お子さんが思春期のほんの数年間だけだと思います。

 

できれば、この貴重な時期に転居のタイミングを迎えられた方には、ぜひ人生で一度しかないかもしれないチャンスを、楽しんでいただきたいという気持ちでいっぱいです。

私たちが全力で応援します!