新築マンション価格上昇率、大阪が世界一

日本不動産研究所の調査によりますと、新型コロナ禍が始まった2020年を100とした2024年4月現在の新築のマンション価格の世界主要都市の上昇率を調査発表しました。

 

世界で一番上昇したのが大阪で116.6%、次いで台北の116.3%でした。

次いで上海、シンガポール、ニューヨーク、東京となります。

 

北京、香港、ロンドン、バンコクなどは横ばいで100前後でしたが、上昇率が高かったということは、元の価格が安かったから、という面もあり、価格で見ればそもそも香港などは東京の2倍以上しています。

「都市の実力」に比べて安いと思われた日本に投資マネーが入り、価格を押し上げている一面が伺えます。

 

日本の所得水準から見れば、コロナ前でも十分高かったと思いますが、世界的に見れば安いという点は大都市でこれから購入するのは益々難しくなってくるでしょう。

 

低価格で安定していた時代は、しっかり貯金して頭金を作り購入する、という購入形態が多かったと思いますが、貯蓄額を値上がり額が上回っている現状では、ますます購入は遠のいて行きます。

 

値上がりしてしまってから購入時期になった「遅れてきた」若い世代の方は、貯蓄ではなく投資で資金を作るという欧米流になってくるかも知れません。

また、都心部の賃貸の活況を見ると、都心暮らしは賃貸で、購入するなら無理のない郊外で、というライフスタイルになってくる傾向も出始めています。

 

各主要都市のマンション価格指数
(新型コロナ発症の2020年を100とした率)
出典:日本不動産研究所

東   京

107.3

シンガポール

108.1

大   阪

116.6

ジャカルタ

105.1

ソ ウ ル

106.9

バンコク

100.0

北   京

102.1

ホーチミン

101.8

上   海

107.7

シドニー

101.4

香   港

100.2

ニューヨーク

111.0

台   北

116.3

ロンドン

101.7

※賃料指数上昇1位はシンガポールの125.8です

 

 

ハウスメーカーは人口増のアメリカへ進出

人口減の日本での住宅着工数が減っています。

もちろん土地が高くなってしまい、建てる予算が取れないことや、建築費が上がっていて建てられない状況もあります。

 

大手ハウスメーカーでは、移民の流入で人口が増えているアメリカの住宅不足をターゲットにして、進出が相次いでいます。

2022年では、住友林業が10000戸、大和ハウス6000戸、積水ハウス4000戸とうい具合です。

 

住友林業では、日本での本格木造住宅のイメージと異なり、賃貸マンションを毎年10000戸供給する計画との事。

すでに売り上げは国内と同水準になっているようです。

 

積水ハウスは日本で培った木造住宅のノウハウ(断熱性や防火性能など)を持ち込むそうです。

アメリカの住宅メーカーを買収したことにより、年間供給戸数が15000戸になり、全米5位の住宅メーカーになりました。

 

住宅だけでなく、星野リゾートはアメリカで欧米式ホテルではなく、日本の温泉旅館で進出するとのことです。

それもアメリカの好みに合わせたものでなく、本物の日本式温泉旅館を持ち込み、いわば文化輸出的な様相です。

自動車や工業製品のようなハードなものから、すでにアニメは席巻していますが、いよいよ文化、ライフスタイルのソフトの輸出の事態になってきました。

 

そのように考えると、農業技術を含めた技術やライフスタイルに関するソフト、コンサルティングできるノウハウなど、輸出できる資産は日本にたくさんあり、これからの時代が楽しみです。

 

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
公認不動産コンサルティングマスター
竹内 健二