都知事選の焦点にもなった待機児童問題
タワーマンションが次々建設され、さらに4年後の東京オリンピック・パラリンピックの選手村(晴海地区)がマンションに転用される予定の湾岸地域では、人口ばかり急激に増えてしまい、通勤混雑や子育て支援施設不足が深刻化しています(7/28日経聞)。例えば勝どき駅は、1日平均乗降客が、2000年の開業時には2万7千人だったのが、2014年には3倍の8万3千人、今も増え続けています。ちなみに、新浦安駅が1日5万5千人位ですから、その混雑ぶりが想像できます。今回の都知事選でもクローズアップされた待機児童問題で湾岸地域の中央区では昨年の倍増263人とのこと、仕方なく月10万円近い認可保育所に入れている方もいらっしゃるようです。そうなると家計への負担も相当なものになります。
同じ湾岸地域の新浦安が見直されるキッカケに
浦安市の保育計画によると、25年度の待機児童数は81人、都内に比べれば少ないとは言え、年々増えているのは気にかかるところです。ただし2008年の新町の地区計画変更により、マンション用地が低層住宅用地に用途変更されたこともあり、人口抑制されたことは、野放図とも思われる都内の湾岸地域の状況を見ますと、先見の明があったものと感じます。「緩やかな」発展であれば、行政の対応も取りやすいとも言えます。今までは、例えば勝どき駅から新宿駅まで25分、のように駅間の分数で立地を判断していましたがが、電車に乗るまで15分待ち、などという笑えない状況が起こるかもしれません。交通が便利で湾岸地域の環境と景観を希望する方が、再び新浦安に注目してくる可能性があります。これからの購入者は、好景気を経験したことがない20代、30代の方が中心です。イメージだけで買うことは少なく、保育状況や市の補助政策、施設数など、とてもよく調べて来られます。そうなると、新浦安はとても総合バランスに優れた街であることが分かってもらえるようになるものと期待しています。
新浦安ならではの「住宅不足」の解消が今後のカギに
現在新浦安に住んでいる方は、その価値が分かっているだけに、いったん住み始めると居住年数が長くなるのが、新浦安の特徴です。都市計画で新規のマンションはほとんど供給される余地はありません。転居される方も少なければ中古住宅として売り出される物件も少なくなります。新浦安の魅力に気づいて、住みたい街になったとしても、入る家がない、このような状況が予想されます。共働きの若い子育て世代が増えることが、税収の面でも、また活力の面でも望ましいことです。せっかくの都市計画で造った街ですから、良質な賃貸住宅を都市圏各で造ることも可能なのではないかと考えます。もちろん今から造る建物であれば老人ホームへの転用もできるような設計が可能だと思います。中町の開発から50年、新町の開発から30年、いままた新たな「緩やかな」発展を目指す街への分岐点に来ているものと実感します。
代表取締役社長 竹内健二