公示地価上昇トップ10から都区部が0に
コロナの影響が顕在化していなかった昨年は上昇トップ10のうち9つが都区部でしたが、今年は0。
千葉県内が5、埼玉県内が3、神奈川内が2地点のように、周辺に需要が移動しています。
千葉では、君津、木更津、袖ケ浦などのアクアライン経済圏が並びます。
埼玉では、戸田、川口、蕨など、「田舎過ぎない郊外」が上昇、都内でも稲城、調布、府中など、23区のすぐ隣が、買いやすい価格帯で物件数もあり、かつ、たまの出勤にも便利な距離が人気です。
株価上昇で、セオリー通り港区や千代田区などの超都心も上昇していますが、一般サラリーマンの主力は「都心に30分程度の郊外」に関心が高まっています。
「もっと遠距離」では、新幹線の停車駅が上昇しています。
小山、宇都宮、高崎などは都心まで1時間以内で、「準東京」以外の郊外に行くより早く家についてしまいます。
リゾート地も熱海、軽井沢など、新幹線で1時間以内のブランド別荘地が上昇しています。
人里離れた閑静な別荘地は不人気で、「街中リゾート」は、普段の生活も仕事もできる点で、コロナ最中に上昇しているのが特徴です。
コロナ後は、本社移転も「準都内」へ加速か
コロナが本格化した、昨年4月以降、本社を都区部外に移転する動きが活発化し、前年比24%増えました。
大阪市も市外へ23%増、名古屋市は15%増と、全国的な動きになっています。
最多移転先は横浜市で、川崎市、さいたま市、川口市、所沢市などが続きます。
転入してくる自治体も、税収や消費が見込めるため様々な優遇策をとって誘致に動いています。
横浜駅がある西区は県内地価上昇率1位で、前述した上昇地域も、本社が移転してしまうなら都心にいる必要はなく、会社の移転地域とリンクしています。
再開発が進む中野なども注目地域で、コロナによって「都心でもなく郊外でもない」エリアが住宅やビルなどの活況を呈するとすれば、投資先も変わってきますので、動きを注視して行きたいと思います。
すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二