同じ築年数、広さで、戸建は価格が1/2

都内23区のマンションは、依然として「高止まり」です。

新築マンションの売れ行きは鈍ってきているようですが、建築費は高騰したままで、価格は下げにくく、資金力のある大手デベロッパーは、値下げせずに完成後もじっくり売る態勢です。

特に都心部は、実需以外に、投資や相続税対策での購入も多く、じっくり売っていればそのうち完売するので尚更値下げはしないでしょう。

 

そのようなマンション相場と比べて、都内の一戸建てはマンションのように職人不足という理由での高騰はなく、維持管理の面倒さもあって投資や相続税対策での購入は少なく、ほぼ実需の相場を反映しています。

 

マンションを諦めた人が一戸建てに鞍替えする動きもあり、区によっては、同じ築年数で、鉄筋か木造かの構造の違いはありますが、同じ広さの物件が1/2の価格で買えることから、若い方から注目されています。。

 

マンション8000万円、戸建なら4000万円

例えば、中央区の月島駅から徒歩3分、築20年、専有面積80㎡の物件の事例で比較してみます。

マンション相場は8000万円、賃貸で借りると月30万円ですが、これが土地10坪程度の3階建て一戸建てですと4000万円です。

ローンは月12万円、年収600万円のご家庭で、充分ての届く範囲です。

最近の若い方は自動車の所有欲が低く、駐車場なしでも問題ありません。

マンションだとローンのほかに管理費積立金が月5万円かかるのも若い方には負担なのでしょう。

 

直近1年間で、5000万円以下の一戸建ては、足立、江戸川、練馬などの23区北東部で1043件、杉並や大田などの23区南西部で558件、さすがに都心部は34件ですが成約しています。

 

「右肩下がり」の世代は資産価値から利用価値へ

都内で一戸建てを購入する方は、単純にマンションを買ったり借りたりするより安いという点も大きな理由ですが、最後は建物は0になるまで「使い倒す」感覚です。

前述の一戸建ての例では、土地は2500万円分残ります。

つまり1500万円の建物分は15年で「使い倒す」とすれば、年間100万円の利用料ではないか、という感覚です。

 

また、ほとんどのマンションでは管理規約で民泊禁止になっていますが、一戸建てであれば自由に民泊も出来るのも魅力のようです。

税金対策や投資と関係ないところで実需を満たす一つの流れかも知れません。

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二