2030年の地価はどうなる?
平成バブル真っ最中の1990年(平成2年)に著名な住宅問題評論家12人へ「10年後の2000年に地価はどうなっているか」というアンケートが雑誌の企画で行われました。
12人中8人は「上がり続ける」という回答でした。
バブルの中ではバブルは見えず、ということだと思いますが、冷静な3人の方は下落幅も的中させました。
根拠となっている情報は様々ですが、ベースになっているのは「人々の心理」です。
心理は、おおかたマスコミ報道と金融政策で作られます。
特に年々、金融政策の影響が非常に大きくなり、不動産が金融商品と言われる所以です。
金融政策は長期に読みずらいので、予測は難しいのが実情です。
日経ビジネス6月号に「2030年の地価はどうなる?」という記事が出ていました。
人口動向や経済指標など、いわゆる「ビッグデータ」を使って予測したものです。
ビッグデータの予測で値上がりしている地域は
ほとんどの地域が「下落」するとい予測になっているのは、生産人口減少、高齢化の加速、AI(人工知能)の普及で仕事が減る、という背景から見て「そうかもしれない」という気になりますが、東京近郊では、値上がりすると予測されている地域があります。
再開発が進む渋谷や池袋、住み心地で人気の藤沢などです。横ばいに近い微減地域は、方南町、横浜、柏、北浦和などとなっています。
また識者の意見も出ていて、生産緑地(農地として残すことを条件に固定資産税が大幅に減税になる)の恩恵期間が終わるので、生産緑地が大量に宅地として放出されるので下落するという見方もありますが、概ね「二極化、上がるか横ばいの地域と下落し続ける地域に二分される」という点では同じようです。
「売るつもりもないし、上がろうが下がろうが関係ない」という意見もお聞きしますが、福祉や道路や上下水道などの社会基盤の充実という点では、大いに関係して来ます。
個人として上がった下がったは関係なくとも、地価が上がれば税収が増え、人も集まり経済も栄え、結果として行政サービスも充実してきます。
とは言え、永年暮らした地域は離れ難いものですし、新たに購入する方も、「家賃のつもりで」と割り切って不人気地域の物件にして、家にお金をかけないという選択もあるでしょう。
行政と住民が一体となって、昔は不人気地域、今は人気地域、というV字回復した街も少なからずあります。
金融や再開発に翻弄されない、言い換えれば、金融や再開発に相手にされない地域にも、活路はあるという点で面白い取り組みの街をこれからも研究して行きたいと思います。
大きな流れを無視した、単純なアパート賃貸経営の時代は終わり、「求められる、お役に立つ」投資の時代が始まったとすれば、まだまだ未来は明るいと思います。
すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二