少子化は、相続人が少なくなること
少子高齢化などと、一緒くたに語られますが、本来は少子化と、高齢化は別物です。
人は生きていれば必ず高齢化しますので、それ自身は問題ではなく、子供が少なくなると必然的に高齢者の比率が高くなる、つまり問題は少子化であると言えます。
不動産の場合で見ますと、少子化は、相続人が少なくなる、家が余って空家が増える、などの現象になって現れます。
家の需要者が減るので全体としても家余りになりますが、相続人が少なくなると、使われない不動産が増えることにもなります。
お互いに一子の家庭の結婚では、片方の家は最後には住み手がいなくなります。
お子さんが一人の場合は、遺言で第三者への遺贈や寄附がなければ、全財産は最終的にはお子さんが相続します (親が先に亡くなる場合)。
そこで、生きているうちに「使い切って」老後の生活を充実させよう、お子さん側からも「自分のために使って」というケースが増えています。
リバースモゲージが流行らなかった代わりに・・・
一時期、自宅を担保に借り入れして老後の生活費に充てるリバースモゲージが喧伝されました。
たとえばこんなケースです。
定年退職で年金暮らし。
生活費の足しに、毎月10万円(または一括で1000万円)を自宅担保で借入する。
金利も元金も一切返済しない。
自分が亡くなった後に自宅を売って返済。
子供に財産遺すより、自分の生活に使う、これがリバースモゲージです。
しかし、不動産価格が右肩上がりの時代はとうに過ぎ、値下がり担保割れでの回収不能リスクや 、相続人ともめるリスクなどから、銀行が慎重で、なかなか普及しませんでした。
そこで出て来たのが、リバース型住宅ローンです。
リバース型住宅ローンとは勇気を出して、終の棲家を定年後にローンで購入します。
たとえば6000万円の駅近くの新築マンションを購入するのに、いま住んでいる古くなった一戸建てを4000万円で売って頭金にします。
不足する2000万円は、預貯金はありますが、老後資金のために取っておきたいので住宅ローンです。
しかし、金利1%10 年の均等返済でも月18万円弱になってしまいます。
これではとうてい無理。
でも金利だけなら払えそう。
そこで金利3%のローン、月5万円の利払いだけで、元金はずっと据え置き。
これなら払えます。
融資期間「10年」等の有期ではなく、亡くなるまでの終身です。
元金は終身ずっと2000万円のまま。
自分や連帯債務者にした配偶者が亡くなった後に自宅を売って一括返済する約束です(あるいは相続人が一括返済することも可能です)。
これがリバースモゲージ型住宅ローンです。
最近いくつかの銀行が始めています。
対象60歳以上の方です。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が 、このリバースモゲージ型住宅ローンに対して(金融機関向けの)保険を出すようになったのです。
自分死亡後に死亡後に相続人からの一括返済が直ちに見込めない場合(つまり実際に自宅売却となる場合)、相続人と連絡が取れない場合に機構が銀行に「保険金支払」として一括返済します。
銀行は担保割れ回収不能リスクなし、相続人ともめるリスクもなし。
安心して積極融資できます。
保険料は条件により年0. 39%から1. 01%。
ローン金利に実質上乗せされることになります。
今年4月には、担保割れした際にも、回収不能になった分も、保険料が高くなりますが相続人に請求しない「ノンリコース型」を出しました。
そのまま、現在の家に住み続けたい、しかし大規模改修に1000万円とか2000万円かかる場合も使えるケースがあります。
リバース型ローンは、老朽化した家から新築または耐震性の高い家へ転換させたい、併せて景気対策もしたい国策が背景にあるのだと思いますが、お子さんに財産を残さなくて良いという方針の方には、一考の余地があるでしょう。
お子さんがいらっしゃらない方ほど遺言状を
お子さんが一人の場合は、相続人が我が子ですから、相続は比較的スムーズだと思います。
お子さんがいらっしゃらない方、独身の方は、親が亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥姪に相続権が移ります。
兄弟姉妹も、社会に出るまで同居していたときの仲の良かった感覚と、自身が老境に入ってきたときとは、考え方も立場も変わります。
また、その間に親の介護などで、兄弟姉妹が均等に面倒を見るということは余りないので、どうしても不協和音が出てきやすいものです。
兄弟姉妹や甥姪には、遺留分は認められていませんので、配偶者だけに相続させたい場合や、全く交流のない甥姪に相続させるよりはお世話になった第三者に相続させたい場合は、しっかりと遺言状を用意しておくことをお勧めします。
当社でも、時々関東近県の土地売却の相談を受けますが、調べて行きますと、坪1万円以下の住宅地がざらにあり、タダでも貰い手がいないところも現実にあるのです。
すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二
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