依然として価格が上がり続けている都心部の新築
2013年に東京オリンピック開催が決まってから、再開発が急ピッチで進み、建設費が高騰し出しました。
マンション価格にもダイレクトに反映し、日銀の低金利政策と相まって投資のお金が不動産に流れ、価格上昇を後押ししました。2017年前半は、まだ都心部の新築マンションは価格上昇を続けていますが、売れ行きの良い物件の特徴がはっきりしてきたようです。
価格が高くなったマンションの購入の主役は、世帯収入の多い、いわゆるDINKS(共働きで子供がいない世帯)と、シニア世帯です。
「広さ」は求めないので、1LDK~2LDKがよく売れているとのこと。
一方、郊外に建てられている3LDK~4LDKの子育て世代向きのマンションは、駅近物件以外は、売れ行きが鈍っています。
せっかくの住宅ローン低金利も、価格の上昇で帳消し、ローン返済に不安を持つ子育て世帯の購入意欲は高くないということでしょう。
一説によると、価格が高くなり、ローン返済額が増え、かえって消費に回すお金が減り、景気低迷につながってしまうという、逆説的な現象も出始めているようです。
強気の中古価格が崩れ始めた
新築の高騰で、中古に流れて来た需要により、都心部は中古価格も上昇してきましたが、強気の値付けに陰りが出始め、調査会社のデータによると、売り出し価格を値下げした物件は、全体の1/3にものぼったとのことです。
価格が上がれば、買える人は減る、そのバランスが悪くなってきたと言えるでしょう。
「古いけれど、広くて安い」という中古のイメージは現在はなく、新築も中古も高い、というイメージが、実需でマンションを欲しい方の購買意欲をなくすレベルになってきたとも見えます。
需要のうち、値上がり益を狙った投資の購入や、相続税対策の購入が、相当数あります。
特に中国マネーの投資はものすごいものがあり、先日新築マンションの販売責任者と情報交換したところ、外国人の投資購入を全体の30%に制限しないと、管理組合が成り立たないという話でした。
「中古は需要の先行指標」と言われます。
新築は、2、3年前の事業計画でスタートしていますので、どうしても今現在の需要とズレが出やすいですが、中古は今現在の需要を反映します。
売り出し価格に弱気が見られ出したということは、今の価格では買う人はいなくなってきた、という危機感を売り手が持ち出したとも考えられます。
2018年は、大きな動きの兆候が出る年に
2018年は日銀総裁の任期満了の年です。
金融政策がどうなるか、アパートローンの引き締めに入ってきたこともあり、0金利政策が見直される可能性があります。
そして、いよいよ東京オリンピックまで2年、豊洲市場もオープンの予定で再開発に拍車がかかるでしょう。
また、2019年の消費税増税前の駆け込み需要の年でもあります。
海外投資家や富裕層の投資で買われたマンションが「売り逃げ」に転じるか、2018年は兆候が出てくると予想しています。実需で、住み替えを考える方には、目を離せない年になるものと思います。
すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二
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