こんにちは。すまいる情報代表の竹内です。

日没も早くなり、これから夕涼みを楽しめる季節。

朝の散歩と夕方のそぞろ歩きが楽しい街は、間違いなく良い街選びです

 

 

いわゆる終活やご相続前後の手助けを仕事の中心にしている私は、自分でも当事者の気持ちを実感することが大切だと思っています。

高貴高齢者と向き合ういわゆる終活や断捨離は、何を捨てるかのほうに焦点が向きがちですが、道元禅師がおっしゃった「放てば手に満てり」の心で、放った後に満ちてくるものに気持ちを向けたいものです。

 

家族で暮らした広い一戸建てから、独り身になって狭いマンションに引っ越すお手伝いは頻繁にします。

当然多くの荷物を処分します。

不用なものを捨てるだけですから、他人から見れば簡単なようですが、本人にとっては中々難しい一大事業なのです。

 

根底には、手放すことへの不安があるのだと思いますが、手放した後の「満ちてくるもの」が見えない不安のほうが大きいのではないかと感じます。

いくつかの手はあります。

 

 

ぶっつけ本番でやるより、一度手放してみて、小さくても満ちてくるもの、得るものがある実感を掴むことが一つです。

私はこの夏、本を大量に処分してみました。

本がたくさん身の回りにあるだけで心安らぐ私ですが、手に満ちてきたものは、一冊の良書の言葉一つ一つが、体に染み込むようになり、満ち足りる機会が増えました。

 

もう一つは、人とのつながり、居場所を手放すことへの不安に対処することです。

新しい場所に移ることは、人間関係を含めた「居心地の良い場」を手放すことでもあります。

誰しも手放したくない、でも行かざるを得ない、そんな時に満つる手助けが出来れば、こんな嬉しいことはありません。

 

馴染みの店にお連れして店主と仲良くなっていただく、同じ趣味の方を紹介して友達になっていただく、場所や人と新しいつながりが得られれば不安も減るでしょう。

 

何にもまして、人はささやかでも自分に誇りを感じているときに不安がなくなり幸せを感じます。

高名なイメージトレーナーの西田文郎さんは、後期高齢者などという統計上の言葉でくくるな、今まで頑張ってきて知識も経験もある高齢者を敬って「高貴高齢者」と呼ぼうと提唱されています。

これなども、色々なものを手放してゆく高齢者に対して、新たな満るものを得る極意かもしれません。

 

 

竹内 健二