増え続ける空き家の実態は

4月30日に総務省から発表された空家数は、5年前の前回調査より50万戸増えて、全国で899万戸になりました。

空家率が20%を超えている、つまり5軒に1軒以上が空家の県は6県あり、全国平均の13.8%以上の県は35でした。(日経新聞)

 

(出典:日本経済新聞)

 

東京は820万戸の住宅総数に対して、11%の約90万戸が空家ですが、空家の中には賃貸募集中や売却中、セカンドハウスも含まれており、長期不在で使用目的のない「放置空家」の割合は、全国で最も低く2.6%です。

大都市圏以外は放置空家が多いと思われ、自治体の悩みの種となっています。

昨年12月に施行された「改正空き家特措法」によって、行政指導を受けたり、強制解体される空家も増えて来るものと思います。

 

 

「タダでもいらない空家」が多い訳

親が残した田舎の一軒家、手を入れて無いため借り手がいなくなったアパートが、「放置空家」の多くを占めています。

買い手がいない=不動産としての資産価値がなく、売るに売れない物件と言えますが、民間では「0円物件」というのはそこそこ取引されています。

我々が関与すると、重要事項調査、書面の発行など、法的責任が発生しますので仲介手数料(0円物件で最大33万円)が必要になります。

したがって、ほとんどの0円物件が、売主直売で、物件の瑕疵や法的規制、境界明示などは責任を持たない形式がほとんどです。

 

平たく言えば「0円であげるけど責任は一切とりません」というものですので、広く流通しているとは言えません。

また、タダでもらう方も、室内の不要物の処分代や、登記費用、取得税、建築申請費用など、実際は0円で済まないことも足かせになっています。

 

 

地方自治体で0円バンクの橋渡しも出現

各地方自治体では、空家バンクなどで空家減らしを図っています。

周囲に悪影響を及ぼす空家や、危険な空家に困っているためです。

ただし、解体するには数百万円かかり、更地にすると固定資産税も上がるため放置されている現実は変えられません。

富山県の上市町では「0円空家バンク」を運営し、使ってもらう方向に舵を切っています。

所有者には最大10万円の室内の片づけ補助、取得者には最大50万円の初期経費の補助をするというものです。

これまでに16戸の無償取引を成立させているとのことです。

 

日本人にはタダでもいらない家が外国人には魅力の場合も

 

また、日本の古い空家は、外国人からは日本の文化や伝統を感じられるとのことで、主に古い家が当たり前のヨーロッパの国の方が多いようですが、円安の追い風でセカンドハウスとして購入する方が増えています。

これからは、官民共同で「空家減らし」が顕著になってくる時代になるでしょう。

 

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
公認不動産コンサルティングマスター
竹内 健二