大相続時代を迎え、税務や不動産などの業界では、節税のノウハウ提供が大流行りです。
しかし、計算だけでは済まないのが人間社会。
私が実際にご相談を受けた実例から、お子さんやお孫さんに喜ばれる相続という観点でお話させて頂きます。
行き過ぎた相続税対策、税金分の現金はありますか?
相続のご相談では、さしあたり相続税の仮計算をして、相続した人がその税金が払えるのかどうかのシミュレーションをします。
現金資産が多い方の場合は、最高税率55%ですが相続した現金で払えば半分は残りますので、支払いに困ることはありません。
強者のお客様の中には、税金分の現金は残すから、あとは勝手に考えろ、という方もいらっしゃいます。
問題となるのは不動産が多い方です。
税金を払うために相続した方は不動産のどれかを換金化することになります。
首都圏や地方大都市近郊であれば、売れる不動産が多いですが、土地が道路に接していない、斜面や崖地が含まれているなど、売るに売れない土地の場合は注意が必要です。
不動産が多い方は、事前に不動産の総点検をしておいたほうが良いでしょう。
特に地方の不動産や宅地以外の不動産は、相続税評価額である路線価より実売価格が低いケースもあります。
相続税の納税は、お亡くなりになってから10か月以内で一括現金払いが原則です。
延納や物納などの代替策もありますが、延納は利息がかかりますし、物納はそれしか出来ない事情がないと税務署長の承認は得られにくく、実際はかなりハードルが高いのであてにしない方が賢明でしょう。
相続税の節約の為にだけする対策は、良かれと思ってしても却って相続人の苦労を増やしてしまうこともありますで、よくよくお考え下さい。
不動産に換えても賃貸すると、財産評価減らしにはならないが
現金を不動産に換えると、相続税評価額は一般的には7割位に減ります。
さらに買った不動産を賃貸にすると貸家として評価が減ります。
そのために、節税ノウハウとしてお勧めする不動産会社やハウスメーカーが多いのですが、賃貸収入が現金として貯まって行きますので、長生きされた場合は評価減にあまりならないケースがあります。
例えば、現金5千万円をマンションに換えて賃料収入が年250万円あったとします。
現金5千万円は不動産にすることで3500万円の評価に減らせますが、6年貸した場合は現金が1500万円増え、合計の評価額は5千万円のままなのです。
節税の為に、お子さんたちが管理できない遠方の不動産や管理が大変な不動産を買うより、いわゆる投資効率は悪くても、相続したお子さんたちが住みたい、持っていたい、と思ってくれるような不動産に転換するほうが喜ばれるのではないでしょうか。
また、奥様や特に女性のお子さんに収入の道を残すことで、長く感謝されるはずです。
最近増えてきたご相談「孫に相続させられますか?」
先に申し上げますと、遺言書で指定すればできます。相続ではなく遺贈と言いますが、お孫さんは(子=孫から見れば親)が亡くなっていない限り法定相続人にはなりません。
相続人ではないので相続税も2割増となります。
ただし、現金で遺贈すると、身を持ち崩したり変な投資に引っかかったりする可能性もあります。
孫思いが徒となるようなことだけは避けたいものです。
そんな時は、お孫さんも将来家が必要でしょうから、お孫さんの通勤に適した場所にマンションを購入し、相続はお子さんがして、お孫さんに無償で住まわす(使用貸借)という形もとれます。
甘えさせないために、管理費と固定資産税相当は負担させても良いかもしれません。
これなどもお祖父ちゃん、お祖母ちゃんが残してくれたマンションに住める、ということでお孫さんから大いに喜ばれるでしょう。
お孫さんへは、いずれお子さんの相続時に渡るのですから、一足飛びにお孫さんへ遺贈しなくても良いのではないでしょうか。お孫さんが住むまでは定期借家で貸しておくこともできるでしょう。
すまいる相談室 室長 竹内健二
(公認不動産コンサルティングマスター)【ご相談内容の一例です】
・認知症気味なので遺言書を書きたい
・もめない相続の仕方を知りたい
・相続や贈与の税金について知りたい
・介護施設の選び方を教えて欲しい
・福祉リフォームをしたい
・家の片づけ、不用品処分をしたい
・女性の一人暮らしをしたい
・地方にある実家の相談をしたい
・相続が起こった、何をすればいい?
・起業したいので店舗を探して欲しい【ご相談日】
・毎週木曜日と土曜日 10時~17時(それ以外の日時はご相談ください)
・場所 美浜のすまいる相談室
・費用 ご相談は無料
(提案書作成・専門家は有料の場合がありますが事前に提示します)
・時間 お一組様2時間が目安です
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