書店やネットでは、たくさんの相続ノウハウや怖い失敗談が満載です。
すまいる情報にも、同様のご相談は来ますが、一番多いのが、手続きでも税金でもない「感情」のお話です。
いわば「教科書」に書いていない悩みの代表的なものをご紹介し、似たような悩みをお持ちの方にとって、前に進むキッカケになれば幸いです。
兄弟姉妹編
●自分が多くもらいたい訳ではないのに・・・アンバランスな遺言書
Yさんは、お父さんが亡くなって自筆証書遺言を家裁で開けてみたら、長女の自分の相続割合が多く、妹、弟の分が少なかったとのこと、何となく妹や弟が不満げで、手続きに入る前にギクシャクした関係になってしまったということでした。
遺言書には、なぜ兄弟姉妹均等でなかったか付言事項もなく、多分長女が介護に献身したからだろうとか、長女が独身だからだろうとか、推測するしかありませんでした。
Yさんは、職業人で資産も持っています。
遺産もさほど多くなく、自分が多くもらいたい訳でもないのに、兄弟姉妹が疎遠になってしまうのは、ばからしいと感じました。
でも、お父さんの気持ちを無視して、遺言書は無かったことにして、兄弟間で勝手に決めるのも気が引けるというご相談でした。
●兄弟姉妹が均等に相続で話はまとまったが・・・アンバランスな資産
Kさんは、姉三人の末っ子ですが唯一の長男です。
いきおい「小難しい面倒な手続きは男のあなたがやって」ということになり、ご相談に見えました。
ご相談の内容は、遺産のほとんどが複数の不動産で、マンションやら一戸建てやら、アパートなど、種類もマチマチで分けづらく、面倒だから全部共有でどうでしょうか、というものでした。
共有は今は楽ですが、後々大変面倒なことになる可能性のお話をして、処分できるものは処分して分けることを提案しましたが、自宅はまだ母親が住んでおり、姉の一人が「自分が生まれ育った家だから、将来も売らない約束をして」と言い出しました。
兄弟姉妹で均等に分けるという方針だけ協議で決まって停滞してしまいました。
父の相続協議書に母が将来亡くなった時のことを書くわけにも行かず、自宅を姉の一人が相続すると割合が大きく変わってしまいます。
甥姪編
●船頭多くして船山に登る・・・疎遠な甥姪まで登場して混乱の極みに
Hさんは、亡くなった母の姉である伯母さんの面倒を、息子のように何かと見ていました。
姉妹が一番仲が良く、自分も可愛がってもらったからです。
独身の伯母さんは健在ですが、認知症の初期が出てきて、独り暮らしも心配なので、施設に入ってもらおうという話になりました。
伯母さんの兄弟は全員亡くなっており、将来の相続時は甥姪が法定相続人になります。
ただし遺言書があれば甥姪には遺留分がありませんので、相続分の請求はできません。
普段は面倒なことには口を出さずHさんに任せっきりの甥姪たちが、施設に入ろうかという時期になって、「施設に入れるのはかわいそうだ」とか「自分も介護を手伝う」とか言い出しました。
伯母さんも、時には厳しいことを言うHさんより、優しい言葉をかける甥姪になびくこともありましたが、伯母さんの意思がハッキリしているうちに、Hさんとの委任契約や任意後見契約を結ぶことを提案し、混乱は収まりました。
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