デュアルライフ(二地域居住)とは

住宅ジャーナリストの山本久美子さんのレポートからご紹介します。

 

東京圏への人口流入が続いている対策として、地方への移住・定住が注目されてきましたが、半定住ともいえる「二地域居住」が広がりを見せています。

 

二地域居住とは、都市住民が多様なライフスタイルを実現するため、自然豊かな地域に、中長期にわたり繰り返し滞在することで、その地域社会と関係を持ちつつ、都市の拠点とは別の生活拠点を持つことです。

 

都市に集中する人たちの、自然志向のライフスタイルを実現するとともに、地方の活性化を図ろうという、政府や自治体の目論見でもあります。

 

若年層まで裾野が広がってきた

二地域居住といえば、シニア層のような経済的や時間的に余裕がある人がするものという印象を持たれがちです。

ところが、最近は、働き盛りの若年層や普通のサラリーマンなどが、二拠点を行き来するライフスタイルを取る事例が増えています。

 

リクルート住まいカンパニーでは、この事象を「デュアルライフ」と名づけ、デュアルライフの実施者をデュアラーと呼んでいます。

 

同社の「デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態調査」によると、デュアルライフ実施者の属性は「20~30代」、「世帯年収800万円未満」が過半数を占め、家族構成では「既婚子あり」が約4割と最多となっています。

また、2拠点目の平均滞在日数は、年間90日で2拠点目の住まいへの平均移動時間は123分で、その移動手段としては「電車」「自家用車」が特に高くなっています。

 

2拠点目の住まいは、購入が約61%、賃貸は約35%。不在時には2拠点目を、共同使用したり、友達または地域住民などに貸したり、宿泊施設として運営したりと何らかの運用をしている人が46%もいました。

 

デュアルライフ実施者の話を聞くと、自宅の駐車場代の金額で地方の賃貸住宅を借りて、車は地方に置いて電車で子どもを連れて行き来している人、安く購入した古民家を仲間と手作りで修理しながら週末に田舎暮らしを満喫している人など、経済的な負担を抑えながら、自然やコミュニティを楽しむ様子が印象的でした。

 

シェアオフィスや副業可能など働き方改革が進んで行けば、時間やお金に余裕があるわけではない人たちが、2地域の生活を楽しむ事例は益々増えていくと思います。