ついに年収の10倍の価格になった都心部マンション
昨年末、税制改正大綱が政府与党から発表されました。
今回の税制改正では、行きすぎた相続税の節税封じが目立ちます。
都心部のマンションの相当数が、相続税対策や投資や東京オリンピックの好況を当て込んだ投機で購入されていると言われ、それが価格の高騰を招いている一因にもなっています。
都心部の新築マンション価格は、ついに年収の10倍になったという記事も目にしました。
低金利の住宅ローンの影響で、年収の10倍でも一部の方にとっては購入できますが、家計に無理のない価格は年収の5倍程度と言われますので、高騰ぶりが際立ちます。
お若いご家族が年収の10倍と聞いて諦めるだけではなく、老後を便利な都心のマンションで、と思っていた方が、自宅売却価格とのあまりにも差がある価格のため、老後資金を全部出しても買えずに、終の棲家の計画を断念するケースも出ているなど、大きな影響が出ています。
都心には見切りをつけて、今の住宅に住めるだけ住むとか、住宅が安い故郷にUターンしようという動きにまで関係するかも知れません。
あまりの節税目的が目立ち始め規制が始まる
投資や投機のほうは、オリンピック前にピークを迎えるとか、まだまだ続くなど、様々な思惑があり、これから明暗が分かれてくるところですが、相続税の節税目的の購入については、国は着々と手を打ち始めました。
タワーマンションの下の階と上層階で一律だったので、販売価格が高い上層階がより節税効果がありましたが、固定資産税評価額を階数で差を付けることが、その一つです。
従来から、相続税には3年縛りという基準があり、例えば相続開始前3年間に行われた贈与は相続財産に繰り戻すというような規定です。
亡くなりそうになってから、急いで贈与しての相続財産減らしを防ぐためです。この3年縛りの基準が拡大しそうです。
相続税の「3年縛り」が拡大へ
1つは小規模宅地の評価減についてです。
小規模宅地の評価減は、一定の基準を満たせば土地の相続税評価額を、賃貸用の土地については50%引きに、亡くなった方の自宅である居住用の土地については80%引きになるという、かなり強力な相続税節税の味方です。
この評価減が使えると、相続財産額が基礎控除内に収まって無税となるケースが増えます。
この制度についても3年縛りをかけるのが、今回の税制改正大綱で出されています(2018年4月以降の相続かつ賃貸事業開始から)。
これについては、亡くなる3年以内に購入したり、賃貸事業をスタートしたものは、適用が受けられなくなるものです。
自宅については、相続前3年以内に、相続人自身か配偶者が自宅を所有していない、通称「家なき子特例」が適用にりますと、80%引きが使える制度が現在ありますが、もし所有していたら使えませんので、家を所有していない、という条件を作り出すために、家屋を自分の子(亡くなった方の孫)に贈与したり、自営の方は家屋を会社に売り社宅としてそのまま住む等の節税策を講じる方がいましたが、これも適用除外になります。
3等身以内の親族や一定の会社への所有権移転や、かつて自分が所有していた家に住んでいたことがあればダメということです。
そのほか、一般社団法人を設立して財産を移転する節税などにも課税強化となる見込みです。
相続は、親心、子心の仕上げ
このように節税封じは着々と進んでいます。
とは言え、不動産による相続税対策は王道であることには変わりありません。
生前は老後収入にもなり、評価額は現金より下げられるのはもとより、相続するお子さんに、ほとんど利息のつかない現金で相続させるよりも、収入を生むような運用込みで相続させてあげれば、すぐの収入になり、運用について悩むことはなくなるなどの利点もあるからです。
まとまったお金はありがたいが、いつの間にか家計や教育費で目減りしてしまったというお話をお客様からよく聞きます。
特に相続するお子さんが専業主婦の方の場合、危ない投資話に乗る危険もなく、収入が入ってくるようにしてあげたいという親心もあるでしょう。
そういった場合は、投資家ではありませんので、利回りとかに目を奪われず、管理しやすく、後の再利用(例えば自分やお子さんの住居等)になるような立地とか間取りをご提案しています。
いずれにしましても、3年縛りが強化されるということは、早めの相談と実施が望まれます。
相続は、あげる人も、もらう人も喜ばしいやり方で、という道のど真ん中を歩くようなお手伝いをしたいと願っております。
すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二
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