新年あけましておめでとうございます。

お健やかな年の初めをお迎えのこととお慶び申し上げます。お正月、酒食や暖房で火照った顔を、冷たい風が心地よく引き締めてくれますね。

ところで風といえば、昨秋、公園の木陰で休んでいたところ、お隣に座っていたおばあちゃんが「いい風ですねえ~」と独り言とも、私に話しかけてきたとも言えないようにつぶやきました。何とも実感がこもっていて、単に気持ちの良い風を感じたということではなくて、「生きている喜び」という余韻がありました。「いい風」を感じたとき、生きている実感が湧くことは、自分にもあったなあと思い出しました。それは、娘の産声を産院で聞いたすぐ後に、一人で帰った家の窓を全開にしたときです。真夏でしたが「いい風」がサーッと家中を巡ってカーテンを煽り立て、とても気持ちの良い、人生最良の風を味わいました。

風のような目に見えないものに価値を感じられる文化、感性が私たちにはあるのだと思います。「風通しの良い」という言葉は、隠し事が無いとか、実直で爽やかという意味で使われますが、世の中も、家庭内も、人との交わりでも、もちろん健康面でも、風通しが良いというのは、とても大切なことではないかと思います。

目に見えないものの価値といえば、世阿弥に「風姿花伝」という芸道を説いた有名な書物がありますが、人生や経営の刺激になるので折に触れて読んでいます。花は「あの人には華がある」の花だと思いますが、これも手で触ることができない見えないものだと思います。内容もさることながら、著名の美しさは随一だと感じています。

風の姿を、花に伝える。いい風、吹いて、花が動く。今年、私は、この新浦安の街の中にも、出会う人との交わりの中にも、仕事にも、プライベートにも、いい風が吹くように、と心に願って、いい風を感じられる感性を磨いて進んで行きたいと思います。

いい風、吹いて・・・

どうぞ皆様にも、花の匂いを運んでくるいい風が、そして帆を充分に張らせるいい風が吹いてきますように、お祈りし新年のご挨拶とさせていただきます。

竹内 健二