こんにちは。すまいる情報東京の代表、竹内健二です。関東は桜のピークが過ぎ、若葉がまぶしい季節になりました。東北地方、北海道は、これからが花見の季節ですね。季節の変わり目、いかがお過ごしでしょうか。
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私事ですが、去る四月十七日に義母が亡くなりました。末期の食道癌で、ホスピスに一ヶ月ほど入った後の逝去でした。今号でご紹介させて頂いた大平智祉緒さんは、ホスピスの看護師として終末医療、緩和ケアに携わった経験から、メイクセラピストになられたと聞きました。私は智祉緒さんの話を予め聞いていましたので、家内にもそのことを話して、有難いことに、最後まで義母は回りを暗くすることはなかったと思っています。
ホスピスですから、近いうちに終末が見えている方ばかり入所されています。入所されている方の心持ちが二通りあったと、大平さんは体験しています。一つは、どうせ間もなく死ぬのだから、何をやっても無駄、と身なりもかまわず、元気のない姿で、お見舞いに訪ねて来る方も、どう対応して良いか戸惑ってしまい、回りの人が滅入って元気がなくなってしまうタイプの方だそうです。
もう一つは、毎日ちゃんとブラシをして、身ぎれいにし、薄くお化粧もして、明るく振舞っているタイプの方がいらしたそうです。こちらは、お見舞いに訪ねてくる人も、変に気を遣うこともなく、逆に自分も頑張らなくちゃと元気をもらっている現象を目の当たりしたそうです。
その体験から、亡くなる直前まで、お化粧をすることは、実は本人だけでなく、回りにいる方も元気にする力があると確信したそうです。それが、メイクによるセラピーを志すきっかけになったお話を聞き、感銘を受けて、すぐにセミナーをお願しました。
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「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴの木を植える。」とは、中世の宗教家マルチン・ルターの言葉と言われています。宗教的な意味合いもあるのだと思いますが、最後まで今日なすべきことをする、ともとれますし、明日が無いものとしても、希望を育てる何げない日常の中にこそ喜びがある、ともとれます。
実は、この言葉を強く感じた経験が私にもあります。やはり末期癌でホスピスに入られ亡くなったお客様ですが、ホスピスに入る前日まで、私とメールのやりとりをしていました。それは、自分が亡きあとのことを、奥様やお子さんが困らないよう、ギリギリまで整理し対処するためでした。
近いうちに亡くなくなると分かっていても、家族の将来という希望に「生きがいが出来ました」とおっしゃった言葉が心に染みます。
「肺に水がたまって、いよいよダメそうです。貴殿との出会いは一生の宝でした。」との最後のほうのメールは、私の宝でもあり、今の仕事の原動力になっています。
当社は、ご高齢のお客様が多いので、終末期にある方や、ご相続、病気や障害など、「終わり」の場面に関わる事が度々あります。そのような時、いつもこのルターの言葉を思い出します。智祉緒さんのメイクに代わる、我々の提供できるものは何だろうか、と考えます。それは、亡くなる方にも、回りの方にも、感謝の場を作ることではないかと、日々実践の中で試行錯誤して行きたいと願っています。少しでも、互いに感謝する場が増やせるよう努力して行きますので、これからもご指導をお願致します。
竹内 健二